「アドレス回収業者」
個人情報を集めてリスト化し、名簿業者や詐欺グループに販売している違法業者のことです。
アドレス回収業者は出会い系サイトにたくさんいるんですよ。
ワクワクメール、ハッピーメール、PCMAX、YYC、ペアーズ、タップル誕生、withなど大手の出会い系サイトやマッチングアプリには必ずいます。

アドレス回収業者の見分け方を知っていれば害はないなのですが、
見分け方を知らなかったために個人情報を教えてしまう人も多いです。
そこでこの記事ではアドレス回収業者について詳しく解説します。
- アドレス回収業者とは何者なのか?
- 個人情報はどのように悪用されてるのか?
- アドレス回収業者の手口と見分ける方法
この記事を一通り読めばもう大丈夫!

アドレス回収業者とは
アドレス回収業者は別名「アドレス収集業者」「個人情報収集業者」と呼ばれています。
彼らの目的は出会い系サイトの会員の個人情報を入手すること。
メールアドレス、LINEのID、電話番号、氏名、住所などを集めています。
昔はメールアドレスだけ集める業者が多かったのでアドレス回収業者と呼ばれていますが、最近ではLINEのIDを集めている業者が増えています。
アドレス回収業者は出会い系サイトに登録している人の個人情報を数千~数万と集めてリストにします。
「出会い系サイト登録者リスト」を作るわけですね。
そのリストを名簿業者(リスト販売業者)に売って利益を得ています。
販売価格はメールアドレス1件あたり0.1円~10円と言われていますが、メールアドレス以外の情報(電話番号、年齢、氏名、住所、プロフィール情報)なども合わせて販売した場合には1件あたり3000円以上で取引されることもあります。
たとえば、1万人分のメールアドレスと出会い系サイトのプロフィール情報を売れば3000万円くらいになりますね。

出会い系登録者名簿を詐欺グループが買う

出会い系サイトの登録者リストを誰が何の目的で購入するのでしょう?
詐欺グループが買います。
詐欺グループが運営している出会い系サイトやアダルト系サイトに誘導する目的で利用されることが多いです。
出会い系サイトに登録している人は、他の出会い系サイトに登録することに抵抗感がありません。
大手の出会い系サイトを利用していれば出会い系がだいたいどんな感じか分かっているし、新しい出会いも求めていますからね。
そういう人たちをピンポイントで狙って誘えば、詐欺グループが運営しているサクラサイトにも登録させやすいというわけです。
詐欺グループは名簿屋から入手したリストに載っている人に、片っ端からメールを送信します。
「出会えるサイト」と称しているけど、実はサクラしかいない「出会えないサイト」に誘導するのが目的です。
いわゆる迷惑メールですね。
迷惑メールは迷惑をかけるのが目的ではなく、
詐欺サイトに登録させて利用料金、登録料、退会手数料などの名目でお金を支払わせるのが目的です。
詐欺サイトなので請求金額は高額。
10万円以上は請求されるのが当たり前という感じですね。
詐欺グループはこうした手口で莫大な利益をあげています。
50億通の迷惑メールを送信し、1億円以上儲けている詐欺サイトもあるんですよ。

個人情報売買の事件報道
迷惑メールに騙される人がそんなにいるのか?と驚くかもしれませんが、騙される人はめちゃくちゃいます。
実際に以下のような、報道もされていますよ。
出会い系サイトに名簿を販売した業者が摘発された事件
出会い系サイト業者にメールアドレスを販売し、迷惑メールを送信する手助けをしたとして、警視庁と北海道警の合同捜査本部は21日、特定商取引法違反幇助(ほうじょ)容疑で、名簿販売会社「O.P.Z」(東京都豊島区)代表取締役の男性(30)=さいたま市=と同社従業員の男性(29)=同=、法人としての同社を書類送検した。
同社は平成24年12月以降、偽の求人サイトなどを作ってメールアドレスを収集し、出会い系サイト業者など約60業者に延べ10億件以上のメールアドレスを販売。約1億7千万円を売り上げていたとみられる。
引用元:2014年10月21日付 産経新聞ニュース「出会い系にメアド10億件以上販売 売り上げ1・7億円 容疑の名簿販売会社摘発」
この業者はアドレス収集をする目的で作られた偽の求人サイトでメールアドレスを集めて、出会い系サイト運営業者に販売していました。
この業者がどのような報酬体系で販売していたのかは分かりませんが、
1件あたりいくらという形ではなく成果報酬型で販売されることもあって、迷惑メールで売り上げた金額の3~4割を報酬として名簿業者が受け取ることもあります。
世界中にダミー法人を作り、1000台以上の送受信管理用のサーバーを置き、1日に2億通の迷惑メールを送信する詐欺グループもあると報道されているので、それだけの投資しても利益が十分に出るということですね。
(参考:西日本新聞「迷惑メールを追う(上)「1日2億通」システム開発者が証言 甘い言葉で“出会い系”誘導」)
アプリで個人情報を盗む業者
マカフィーは4日、電話番号を盗み出す、不審なAndroid向けチャットアプリをGoogle Play上に確認したことを明らかにした。
今回、発見されたアプリは「CHATLINE」および「CONNECT LINE」の2種類。名称に"LINE"の文字が含まれるが、LINE株式会社との関係は無い。
これらのアプリを起動すると、電話番号、IMEI(国際移動体装置識別番号)、SIMシリアル番号を外部のWebサーバーに送信するという。また、ユーザープロファイルとして入力した、ニックネーム、性別、居住地域、生年月日、自己紹介などの情報も同様に不正に収集される。これらの情報取得に対する承諾確認は一切ない。
また、両アプリの開発者は、不正な方法でGoogle Play上でのアプリの評価を上げており、アダルト出会い系サイトを運営しているという。
この業者のように、Androidアプリで個人情報を集める手口もあります。
アプリをインストールして起動するだけでスマホに入っている情報がどんどん送信されてしまうわけです。
スマホの持ち主の個人情報だけではなく、電話帳のデータがごっそり盗まれます。
よく知らないアプリを気軽にインストールしまくっている人もいますが、注意して欲しいですね。
AppStoreからしか入手できないiPhoneアプリより、誰でも自由に配布できるAndroidアプリの方が危ないのでアンドロイドユーザーは気をつけましょう。

迷惑メールの種類
アドレス回収業者にメールアドレスが盗まれると、多くの場合は詐欺サイトに誘導する迷惑メールが届きます。
出会い系サイトやアダルト系サイトに誘導されるわけですね。
しかし、それだけでは終わりません。
個人情報はさまざまな詐欺グループに転売されていきます。
投資詐欺やオレオレ詐欺などのグループも買うので、いろいろな迷惑メールが届くようになります。
儲け話・投資詐欺
情報商材などを売りつける目的の「儲け話」系の迷惑メールは多いですね。
高収入の副業、競馬やスロットなどのギャンブル必勝法、高額当選宝くじ、仮想通貨など、「あなただけに教えます!」「これさえあれば手軽に儲かります!」「1日30分で月50万円は確実に儲かる!」みたいな内容のメールが届きます。
最近は迷惑メールよりもSNS(XやInstagram)のDM(ダイレクトメール)を使う手口が増えています。
架空請求
架空請求詐欺やワンクリック詐欺も迷惑メールの定番。
身に覚えのないサイト利用料や動画閲覧料などを請求されて、「支払わなければ会社に連絡し、裁判を起こす」などと脅してくる手口。
脅しにビビッて支払ってしまう人がたくさんいます。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺も迷惑メールには多いです。
詐欺グループが三菱UFJやSMBCなど実在の銀行になりすましてメールを送信します。
「手違いで振込手続きが行われたので確認のために個人アカウントにログインして欲しい」などと言って、銀行口座の口座番号や暗証番号を金融機関の公式サイトに模した詐欺サイトで入力させる手口です。
個人情報の売買は合法
こんな疑問を持ちませんか?

そもそも個人情報が勝手に売り買いされているなんて変な話ですよね。
実は決められたルールさえ守れば個人情報の売買は合法なんですよ。
個人情報保護法でも売買は禁じていないんです。
名簿業者をチェックする公的機関も存在しません。
不正に入手した個人情報を売買すれば違法ですが、違法に入手された個人情報であることを知らずに買った場合はセーフ。
「知らなかった」と言えば済んじゃうんです。
また、サイトで個人情報を入力させる場合でも「取得する個人情報の利用目的を明示」していたり、「本人から削除要請があったら削除する」といういくつかの文言を規約を書いておけば、入手した個人情報を本人の同意なしで売買できます。
サイトの登録時に規約を読んでチェックさせられることがありますよね。みんなちゃんと読んでいませんが(笑)、実はあれに書いてあるんですよ。
そのため名簿業者は堂々と商売をしています。
Google検索で「メールリスト 販売」と検索すると、業者の広告が一番上にずらっと表示されます。
Googleも個人情報の売買を実質的に後押ししているわけですね。
引用元:2019年8月22日のGoogle検索結果
個人的にはもっと規制を厳しくしないとダメだろって思うのですが、法律的にはゆるゆるです。

アドレス回収業者は違法
しかし、出会い系サイトで個人情報を集めているアドレス回収業者は違法。
個人情報保護法の17条には「偽りその他不正な手段により個人情報を取得してはならない」とあるので、これに違反するんですね。
出会い系サイトで知り合った人から聞き出した個人情報を売買するのは犯罪。
また本人の承諾を得て集めた個人情報であっても、詐欺に利用されることを知りながら売った場合は違法になります。
つまり、個人情報を集めたり販売したりしている業者には2種類いるんです。
合法にビジネスをしている業者と、違法にビジネスをしている業者。
「表の業者」と「裏の業者」という呼ばれ方をすることもあります。
出会い系のアドレス回収業者は「裏」。
闇金業者が多重債務者のリストを買ったり、投資詐欺業者が過去に詐欺被害に遭った人の名簿を買ったりするのも「裏」ですね。
アドレス回収業者の手口と見分け方
ここからはアドレス回収業者から個人情報を守るための方法を解説していきます。
アドレス回収業者の特徴を知って、見分けられるようになりましょう!

アドレス回収業者の手口
アドレス回収業者はできるだけ多くの人の個人情報を集めなければならないので、一人一人に時間をかけたくありません。
1日1人しか個人情報を聞き出せなかったら1年間頑張っても365人分しか集まりませんよね。
1日に10人、100人という単位で集めたいわけです。
効率よく集めていかないと儲からないんです。
そこでよく使う手が、メールの一斉送信。
メールを一人一人に書いていたら時間がかかって仕方ないので、誰が読んでも違和感のないテンプレのメッセージをひとつ書いて、手当たり次第に送りまくります。
たとえば、以下のようなメッセージを書いてきますよ。
はじめまして!!プロフ見ました♪
春から東京で働いてます!(^^)!
こっちの知り合いがいなくて、寂しいなーと思って始めました♪
もし興味あれば連絡ください(*^▽^*)
一見すると普通のメッセージですが、東京に住んでいる男性になら誰に送っても大丈夫な内容になっていますよね。
男性の名前を書いていないし、男性のプロフを見たと言っているけどプロフの内容には一切触れていません。
自分の話をしているだけで、男性について何も書いていないんですね。
一斉送信していることがバレにくい内容になっています。
このファーストメールに男性が返信をすると、
2回目のメッセージで連絡先を書いてくるか、男性の連絡先を聞いてくることが多いです。
メッセージありがとうございます!嬉しいです!
よかったらラインでお話しませんか?
待ってまーす(^^♪
このメッセージを読んだ男性がLINEのIDを教えたら、業者は楽々個人情報ゲットというわけです。
LINEではさらに本名や年齢などを詳しく聞いてくることもあります。そして個人情報を集め終えたらパタリと連絡が途絶えます。
以上がアドレス回収業者の手口の王道パターンです。
アドレス回収業者の見分け方
アドレス回収業者には特徴があります。
時間をかけずに連絡先をゲットしたいので、それが行動や言動に出るんですよ。
【メールの特徴】
- 1~2回のメッセージのやり取りで連絡先の交換を提案する
- LINEやカカオトークのID、メールアドレスをメッセージに書いてくる
- メールよりも電話で話をしたい、声を聴きたいと言ってくる
- すぐに会いたいという理由で連絡先を聞きたがる
- 気がある素振りを見せる
- 話が噛み合わない
とにかく話が早い。トントン拍子に話が進みますよ。
普通の女性は自分からファーストメールを送りませんが、アドレス回収業者は自分から積極的に送ります。
普通の女性は自分の連絡先をすぐには教えたがりませんが、アドレス回収業者は自分の個人情報をすぐに教えたがります。
普通の女性は会うことに慎重ですが、アドレス回収業者は即会いしたがります。
アドレス回収業者は自動返信ソフトでメッセージを作っていることが多いので、話がまったく噛み合わないことも多いです。
【プロフィールの特徴】
- LINE交換できますと書いている
- メッセージするより会ってみたいと書いている
- 可愛いプロフィール写真
- 最近入会したばかり
- 電話で声を聞いてみたいと書いている
- 日記を書いていない
- スリーサイズやカップの記入がある
- 使用端末(キャリア)がPC
プロフィールの特徴のうち、3つ以上あてはまっていたら高確率で業者。
アドレス回収業者ではなくても、援デリ業者や誘導業者の可能性もあります。
危険なので避けましょう。

「怪しいけど、一般人かもしれないし。メルアド教えようかな…どうしよう…」と迷った時は、捨てアドを作ってそれを教えましょう。
Yahoo!メールやGメールで適当に新規アドレスを作って、そのアドレスを使ってやり取りをすればいいんです。
一般の人なら「捨てアドでも別いいよ」と言って普通に連絡先の交換をしてくれますよ。
私も昔すごく迷ったことがあって、捨てアドを教えました。
実際には相手の女性はノリがいい普通の子で、私のプロフィールを読んで興味津々だったので早く会ってみたかったそうです。
会った時に「最初、なんかすごい警戒してたよね(笑)」と笑われました。
そういうこともあるので、警戒し過ぎてチャンスを逃すのはもったいないですからね。
個人情報を教えてしまった時の対処法
うっかりアドレス回収業者に個人情報を教えてしまった時は、何を教えたかをまずは確認。
メールアドレスだけなら全然大丈夫。
迷惑メールが来ても徹底無視。着信拒否、ブロックすればOK。メールに反応しなければ害はありません。
金融機関のサイトに登録しているような重要なメールアドレスを教えてしまった場合は、登録アドレスを変更しましょう。
それで一件落着です。
もし詐欺サイトに登録してしまったり、架空請求をされたりしたら、無視。
詐欺行為に支払う法的義務はありません。
「払わないと裁判するぞ」とか「出会い系でトラブルになっていることを会社や警察に言うぞ」と脅されてもビビらないことですね。捕まるのは相手ですから。
どうしても心配な時は、消費生活センターや最寄りの警察署で相談しましょう。
適切なアドバイスをもらえますし、実害が出ている場合は被害届も出せますよ。

以上、アドレス回収業者について解説してきました。
アドレス回収業者を避ける一番のポイントは、すぐに連絡先を交換しようとしてくる人には注意することです。
さらに他の特徴と合わせて常識的に考えれば、簡単に見分けられますよ。
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